大学ではスポーツ健康科学を学び、人が健康であることの喜びを実感できるようなプログラムづくりと健康教育の研究に取り組んでいる。その一環で、週一回、老人ホームでの健康体操と高齢者向けスイミングの指導をしているが、お年寄りと一緒に体を動かしながら、ふと光司おじいちゃんを思い出すことがある。高齢者と心がふれあった最初の機会が光司おじいちゃんだったからだ。
一人ひとりが野の花の種となって
卒業生たちの心に、人と人がふれあうことの大切さを刻んだ野の花だよりの活動は、今も在校生によって引き継がれている。高松智校長(左写真)は、「月一回手紙を書いて時々会いに行くという野の花の活動は、わかりやすくて、簡単。だからこそ誰でも参加でき、一〇年も続いたのでしょう。しかし、その簡単なことを続けていく中で、生徒たちはお年寄りからたくさんのことを学びました。
市内のデパートに展示された「野の花だより」のハガキの数々。
「野の花だより」10年間の主な歩み
1990年5月 「奈多創生園」との文通開始
1991年3月 「野の花だより」第1集出版
5月 「日赤大寿園」との文通開始
1993年8月 「松濤園」との文通開始
9月 福岡中央郵便局1階ロビーで展示発表“女子高校生とお年寄りとの交流”
11、12月 NHK「新日本探訪」放映
1994年9月 単行本『おじいちゃん、おばあちゃん お元気ですか』出版
1995年10月 高校生のボランティア活動を励ます大学連合より「テンダーハート賞」受賞
1996年7月 「油山緑寿園」「花畑ホーム」との文通開始
1997年 高等学校『家庭一般』(大修館書店)の教科書に掲載
12月 NHK教育テレビ「人間大学」の「共生社会への道 12]心の教育(堀田力)」の中で紹介
2000年2月 「野の花だより」第10集出版
「野の花だより」は91年に第1集を刊行後、毎年発行を重ねて今年2月で第10集を数える。このほかに数多くのテレビ番組やマスコミでも紹介され、また、各種の団体等から表彰、奨励されるなど、その活動は大きな反響を呼んでいる。