年二回開かれるOB会の総会で、「いつも手紙をありがとう」と声をかけてくれるOBもいる。ちょっとした思いやりで人間関係が潤うのを実感する時、野の花だよりで知らず知らず身に付いたことが今も生きているのを感じている。
景山さんは短大に進んでからも三人のお年寄りと文通していた。日赤大寿園に暮らす共枝おばあちゃんとご主人の市郎おじいちゃん、そして安次郎おじいちゃんだ。今度はどんな便せんに書こうかしらと、文房具店に行くと自然にレターセットの売場に足が向いていた。「書くことといえば、自分のことばかり。試験で大変だとか、レポートが大変だとか、大変なことばかり書いていたような気がします」と景山さん。
それに対して、安次郎おじいちゃんはせっせと励ましの手紙をくれた。家中で返事を心待ちするようになって、母も「いいことだから続けなさい」と言い、四歳年上の姉はよく「返事が来よっとよ」と郵便受けから持って来てくれた。