「ほんと、ほんと。だからどうにかならねぇか、ご隠居さんの知恵を借りに来たんでさ」
「これまでのやり方じゃむずかしいだろうね。NPOといっても、ボランティアに支えられてコツコツやってるところがほとんどだからね」
「でも、自発性とやらが、NPOに絶対必要だというなら、コツコツやるしかないかも」
「そうとは限らないさ。アメリカは、ポインツオブライトとか、NPOをお金の面でも助ける財団や基金をつくって、全国規模でNPOの起ち上げや運営を応援しているだろ。そして、活動する人たちに、最低賃金より少し低いあたりの謝礼金を払って、暮らしの足しにするような位組みをつくってる」
「それは、ボランティアですかね」
「賃金をもらうんじゃないから、ボランティアさ。だけど、ボランティアというのはもっと当たり前にするものだというので、コミュニティサービスという言葉を使ってるようだね」
「おや、ご隠居さん、ちょいと英語も勉強してるじゃござんせんか」
「冷やかしちゃいけねぇ。しかし、日本も、そういう方面に税金を使ってほしいね。そうすりゃ、人が生きるし、人の気持ちも生きて社会に役立つ活動がさまざまに広がるからね。土木事業に使う税金よりぐんと安いお金で、みんなの喜ぶことができると思うよ」
「なるほど。しかし、そうなると、ボランティアという考え方中心でやってきた堀田さんも、これからはコミュニティサービス路線でやらなきゃ、時代遅れになるってことですかね。よし、さっそく行って教えてこよう」
「待て待て。まだオチが付かないのに行っちまいやがって、落ち着きのねえ野郎どもだ」
