老いの住まい No.5
本間郁子
職員と介護保険
果たしてサービスの質は確保できるのか
介護保険が導入されて、特養ホームに問われているのは介護サービスの質である。施設は、入居に際して利用者と契約を交わすことやサービスの内容について利用者に説明すること、苦情を受け付ける場を設けることなどによって質の向上を図ろうと考えている。
しかしながら、特養ホームの入居者は平均年齢約84歳でそれは年々高齢化しており、重度の痴呆や障害者の数が増えている。多くの入居者が、何か問題が起きても自ら訴えることのできない人たちである。家族の方も高齢になっており、自分のことで精いっぱいという人も少なくない。このような状況から、苦情相談窓口など形として設置しているだけでは機能していかないのではないかと危倶される。
施設の日常生活は、外部からなかなか見えにくいだけに入居者の人間としての尊厳が守られるかどうかは、すべて職員にかかっていると言っても過言ではないだろう。
介護サービスの質は職員の質と職員態勢が重要な要素であるが、果たして十分な整備はできているのであろうか。現場の職員の声を聞いてみた。
特養ホームに勤めて18年になる男性の生活相談員。介護保険導入後、本俸から3万円の減給になった。これまで、日中は入居者や家族の対応で忙しく、業務記録や事務処理はほとんどサービス残業の中でやってきた。