家族は「早くデイケアに行かないと、寝たきりになる」と毎日不安に駆られているのに、どこからもケアの手が差し伸べられないんです。
まだ残る措置時代の体質
それはケアプランの作成が一時期に集中して、間に合わないということですか。
確かにケアプランを作る側に言わせれば、「いっぺんに作れないので、間に合わない人も出る」ということなんでしょうが、問題は間に合わせようとする努力をしているかどうかですよ。総体的に見て、どうもソフトが親切でないように思います。
デイサービスを求めている人がいるのに、ケアプランができないからサービスも受けられない。こういうケースを目の当たりにすると、制度は変わっても相変わらず「措置」の体質が尾を引いているのを感じます。「措置は福祉の配給制度」と私は呼んでいるんですが、その人が必要とするものを提供するのではなく、あるものを与える。そういう体質がまだ残っているんです。
住民の側からすると、介護の仕組みは変わったけれど、サービスの質や運営のありようは旧態依然の印象がありますね。それに、制度自体もよくわからないという声があちこちで聞かれます。
私はよく言うんですが、介護保険がどういう制度なのか、あまり細かく知ろうとするな、と。医療保険だって、制度の内容は知らなくても、病気になったら保険証を持って診療所に行けばいいことはみんな知っている。それと同じで、介護保険で知っておくことは、体が弱くなって身の回りのことができなくなったら、福祉の相談窓口に行くということ。それさえ知っていればいいんです。
医療の世界では、あそこの医者にかかったらすぐに治った、というような評価の仕方をしますよね。介護でも同じように、自分にとって役に立つサービスはどんなものなのか、よいケアマネジャーとはどんな人なのか、という具体的な評価のものさしを持つことが大事です。
介護サービスは商品、利用者は消費者
ケアマネジャーも事業者も利用者が選ぶことができるわけですが、いざ選ぶとなると何を基準にしたらいいのか…。むずかしいです。
ほら、魚屋に買い物に行くと、活きがいいかどうかを見たり、お店の人に食べ方を聞いたりするでしょう。ケアマネジャーやホームヘルパーを選ぶのもそれと同じ(笑)。