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「特に痴呆性高齢者の審査で、主治医の意見書と特記事項の間に食い違いがある場合に質問されることが多いですね」と松澤さんは説明する。

コンピュータによる一次判定の結果を、介護認定審査会が二次判定で変更した件数(九九年一〇月〜二〇〇〇年五月分)は、総認定件数一二〇一件のうちの三七一件だった。率にして三〇・九%と、比較的高い。変更理由を見ると、要介護度状態を示す国基準(状態像の例)に照らし合わせてが一六六件、主治医の意見書によるものが一〇六件、基本調査の特記事項によるものが六一件などとなっている。調査員の同席が、高齢者の身体状況を認定結果に反映させることに役立っていることがわかる。「(特記事項の)文章だけでは伝えきれないことがあります。少しでも状況を知ってもらうために同席は欠かせません」と松澤さん。

 

市自体が介護支援事業者に

 

このほか「公平・公正」を重視する市では、市庁舎内の長寿社会課にケアーマネージメントセンターを開設し、市民からの要望に応じてケアプラン(介護サービス計画)を作成している。市内にはケアプランを作成する介護支援事業者が一三あり、市外からも三四の事業者が参入している。民間サービスが豊冨にもかかわらず市が介護支援事業者になっている理由について、長寿社会課の加納久司課長補佐は、「これまでの福祉サービスを受けてきた人の中には、いきなり民間のサービスに変わることを嫌がる人がいます。市の事業はこういう人たちが対象で、民間企業と競争するのが目的ではありません」と、住民サービスの一環であることを強調する。利用者の確保が目的ではないため、ケアマネジャーは一人しかいないが、それでも五月末時点で二〇数人分のケアプラン作成実績があるそうだ。

 

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長寿社会課内に「ケアーマネージメントセンター」が設置されている。市民からの相談に対応する職員。

 

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