市職員が訪問調査を担当
具体化の一例が、一次判定に向けて実施する訪問調査の担当者をすべて市の職員にしたこと。その理由について長寿社会課の小川正美課長(写真右側)は、「何よりも最初の調査が大切。民間事業者に委託したほうが楽だが、業者のひも付きになる可能性がある」と、その危険性を指摘する。市の正規職員は一人。このほか一年契約の臨時職員四人が調査員として申請者の家庭を訪問した。それぞれが保健婦やケアマネジャー(介護支援専門員)などの有資格者だ。五月末時点で調査員一人当たり約二五〇人、合計一二五五人の調査を終えた。
調査員の一人で保健婦の松澤晶子さん(写真左側)は、市職員が直接調査するメリットについて、「調査拠点が一か所(市役所)なので、調査員同士がその都度、問題のあるケースについて話ができます。その結果、調査基準のバラツキが次第になくなってきました。(豊富な蓄積があるので)何か問題が起きてもすぐに対応できます」と自信に満ちた表情で語る。調査を受ける高齢者とその家族にとっても、市職員が調査員として訪れるということで安心感があるようだ。
認定審査会に調査員が出席
全国共通の調査票を使って聞き取り調査を行い、必要に応じて調査票に特記事項を記入するのが調査員の仕事。犬山市の場合には、さらに要介護認定の精度を高める目的で、介護認定審査会(一次判定の結果や特記事項、主治医の意見書をもとに要介護状態を審査する)に調査員を同席させている。これは、調査員全員が公平・公正な視点で高齢者に接する市の職員だからできることで、所属する事業者への利益誘導の危険性がある民間事業者の調査員の場合はむずかしい。
同市の介護認定審査会には保健・医療・福祉の学識経験者で構成される合議体が二チームあり、週に二回審査を実施している。毎回四〜五人の調査員が同席し、調査票に記入した特記事項に関する審査委員からの質間に答えている。