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同居する母親に痴呆症状が現れたことから、二四年間勤めてきた会社を辞めざるを得なかった宮島さんは、地域福祉の充実のために一九九五年四月、「さわやかたすけあいの会」を立ち上げた。

「声かけや見守りなど、ほんの少しの手助けでもあれば仕事を続けられたのにと思うと、私自身、とても残念でたまらなかった。だから、同じような悩みを抱えている人たちのために何かできればと考えたんです」

その後、事務局の運営や資金の調達から会員の悩みごと相談まで昼夜に及び活動に励んできた宮島さんだったが、五年目に入り、母親の痴呆の進行、そして自身も体調を崩すなどの理由から、代表を続けていくことが困難な状況に陥ってしまった。

「でも“私は辞めます。後はよろしく”ではあまりにも無責任。ボランティア団体の場合、良くも悪くも代表の役割は大きいので、そんなことをしたら混乱どころか、場合によっては会の存続自体も危ぶまれる。ですから、代表の最後の仕事として責任を持って引き継いでくれる人を探さなければと思いました」と宮島さん。そして引き継ぎには一年間はかかるだろうと考え、まず九九年四月の理事会で「今年度いっぱいで代表を交替したい」と申し出た。しかし後任はなかなか決まらず、予想通り、会を解散するしかないといった意見も出始めてしまう。ようやく八月になって、協力会員として現場での経験もあり事務局業務にも通じていた小田島佳子さんに白羽の矢を立てて、打診。小田島さんもいろいろ悩んだに違いない。だが翌年の一月になり、ついに「OK」の返事をもらうことができたのだった。

 

 

 

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