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堀田 どうしたんですか?

川淵 白内障の手術をしてね。とってもきれいに見えるようになったけれど、自分の顔のしわまでこんなに多いのがわかって、長生きするのも辛いなんてこぼされちゃって。もちろん心から言ってるわけじゃないだろうけど、ぼくらの時代はお年寄りのしわは勲章のようなものだったじゃないですか。そんなことを言わせちゃまずいなあと思って、韓国では若い女性なんか美容整形は普通だし、日本でもお年寄りのしわも最低限そうならないかって女房に言ったら、ならないわよって言われちゃって(笑)。

堀田 (笑)。確かに外見の容貌は年ごとに衰えるでしょうけれど、生きがいがなくて目に光がない、くすんでいる人、全然きれいじゃないですよね。島津久子さんという方、このごろはちょっと臥(ふ)せってらっしゃって、九五歳くらいまで更正保護関係の会長さんをしてもらっていたんです。骨折されても全国を杖ついて、飛び回ってらして、すごくおきれいだったですねえ。もちろんしわはあるけれども、そんなものを超越している。

川淵 (うなずく)。

堀田 講演で話すのですが、名古屋の手足が全然動かない寝たきりの方。もう亡くなられたんですが、和歌を口でインターネットを使って発信して、お弟子さんの歌を添削したり。九二歳くらいの時に会ったですかねえ。目に光りがあって、ああ美しいなあと。そういう美しさを認めるということは、個々の思いを大事にする社会の延長なんですね。

川淵 ぜひ社会の感覚をそういうふうに変えていきたいですよね。そのためにJリーグもぜひいろいろと活動していきたい。今年発足して九年目なんですが、ようやくJリーグがめざす地域に根差した総合スポーツクラブづくりを文部省が大々的に打ち出し始めたんです。それで何とかぼくが元気なうちに形をつくりたいなと思って、去年から、ラグビー、バスケットボール、バレーボール、ハンドボールなどの協会幹部の方々に、ぜひJリーグ百年構想の方向性と併せて一緒にやろうよと働きかけているんですよ。

 

 

 

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