川淵 家族のあり方もずいぶん変わっている中で、押し付けがましいのはよくないですよ。
堀田 ちょっと管理主義が復活してますね。押さえ付けて問題を消そうとしても絶対無理。私の友達の検事の息子さんが音楽家になったんです。親としちゃ将来考えて大学まで行かせたい。でもどうしてもとがんばった。今、結構立派な音楽家として活躍しています。まずきちんと意思を尊重し、でもしっかり責任を持たせる。自分の個性を大事にすれば相手の個性も尊重できるようになるし、それがいい人間関係につながるんですね。
ふれあいが生きがいを生む
世代を越えた交流の場を
堀田 人間関係なんて知識じゃなくて感覚でしょう。お年寄りにだって、小さい時から自然にふれあっていれば自然と大事にする方向にいくんですよ。ご紹介いただいた吉田旭雄さんがやってくれているサッカーさわやか広場もそう。Jリーグの各クラブの選手のみなさんに協力していただいて、老人ホームで一緒に高齢者と交流していく。参加した子供たちが親も驚くほど変わるんですね。作文を読んでもわかります。
川淵 感想文は私も何度も読ませてもらっています。「ぼくにもおじいさんとおばあさんがいるけど、やったことがないから、帰ったら一回おじいさんの肩を揉もう」なんていうのを読むと本当にうれしいですね。Jリーグの新人教育でも若い選手は必ず年に一回何らかのボランティアをやるようにしています。「車イスを押した時に照れ臭かったけど、また来ようと思った」とか、初めは嫌々でもやってみれば人に喜ばれることが自分の喜びになるとわかるんですね。
堀田 非行少年でもそうですよ。ボランティアが一番。体験することでガラッと変わります。二〇〇二年から小中学校で総合的な学習の時間というのが始まるので、ぜひいろいろと取り入れてもらえるように、今働きかけているところなんです。