でも共通の理念を持つJリーグさんが百年先を見通そうよとおっしゃる。それまではついつい自分が引っ張らなきゃと思っていたけれど、そうだ百年で考えようと。それなら絶対に自分は生きていない(笑)。
川淵 わかります。先頭に立つ身はしんどいですよ。Jリーグもさわやかも究極の目的は同じで「温かい地域社会づくり」だといつも言わせていただいているけれど、やっぱりまだ、ぼくがいないと全然違う方向に行く可能性があるぞと、ある時感じてね。それでしっかりと思想の共有化をしたかったんです。すぐ流されるから。もうちょっとわかってると思ったのに情けないとか(笑)。
堀田 時流が動いているからこそ、逆にしっかりとした信念で踏みとどまって対処しないといけない。
川淵 そうそう。でも暴風雨はいつも全部ぼくのところに来る(笑)。当初はどんな反論も全部目を通してましたけれど、最近はやめました。建設的な批判はありがたいけれど、罵詈雑言は何の解決にもならないでしょ。第一、身体に悪い。秘書が「そろそろ悪口の分、見ますか?」なんて聞くんだけど、しばらく見たくないよって断ってる(笑)。
堀田 私もいろいろ言われてますよ。ボランティアは完全な無償じゃなきゃけしからんとか、テレビに出過ぎだとか(笑)。本人は気づいていませんが、そういう人に限って自分の名誉や団体の面子にこだわってる。みんなで一緒に本当に社会をよくしていこうという気持ちがないんですね。
川淵 Jリーグでも、お話しした通りサッカー振興だけが目的じゃないんだけれども、そこで各クラブの責任者と意識の違いが出る。だからこそぼくが徹底的にリーダーシップを取って、サッカーだけ、優秀な選手だけとならないようにしたいんですよ。