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老いの住まい No.4

本間郁子

 

職員と介護保険

利用者と対等である意識

 

介護保険法が二転三転した上に、基準をわかりやすくするための「解釈通知」が3月末に出されたものもあって、職員はずい分それに振り回される事態になった。現場の「声」を聞いてみた。

介護職として5年、生活相談員として10年、合わせて15年間特養ホームで働いてきたという職員(男性、47歳)は、特養ホームが介護保険制度で変わっていくのを実感しているという。それは、入居者と施設との間に契約が取り交わされることになり、その準備を進める過程で感じたことだったという。文書で契約を取り交わすことは義務付けられていないが、それに伴う重要事項説明書は利用者に対して交付しなければならない。その重要事項説明書に記載するサービスの内容について、職員が毎日遅くまで会議を開き検討を行った。その話し合いを通して職員みんなが認識したことは、提供するサービスに責任を持たなければならないということだった。これまでは、職員が1年間の計画を立てて、それが結果的に実行されなくても「これも、あれもできなかったね」と簡単に反省するだけで、入居者や家族になぜ実行できなかったのかという説明はしてこなかった。

2月に入って、介護保険と重要事項説明書の内容について説明を行うために、入居者、家族一人ひとりに来てもらい個別面談を行った。この面談は3月の20日過ぎまでかかった。彼は、この面談の感想をこう語った。

 

 

 

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