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文体を「ですます調」にするなど表現を少しでも柔らかくする工夫をし、さらに安心マーク(市のコミュニケーションマーク)を契約書の一枚目に刷り込むことによって信頼感を高めた。

 

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市の保健・医療・福祉政策推進の中核施設「総合保健福祉センター」

 

双務契約の理念で民間活力を引き出す

 

ケアマネジャーと利用者が契約の際に使う「居宅介護支援(ケアマネージメント)標準契約書」は、四月末時点で約一万一〇〇〇部売れている。北九州市にはケアプラン作成の対象者が一万三五〇人いるが、一人につき二部使う(業者と利用者の双方が保管する)ので対象者に対するカバー率は五〇%を超えている。同様に、介護保険施設については、二四〇〇人の入所者に対して契約書が四四〇〇部売れ、カバー率は九〇%を超えた。

事業者が積極的に契約書を使う理由について高田監査指導課長は、「トラブルの未然防止が、利用者だけでなく事業者自身の保護にもつながるとの考えが浸透している」ことを挙げる。

たとえば措置の時代には、サービスを利用するその日にいきなりキャンセルすることがままあった。しかし、介護保険でこれがあると事業者は混乱する。契約書にキャンセル規定を盛り込むことによってトラブルを防止できるのだ。「事業者の責任だけでなく利用者の義務を明示する」という双務契約の理念によって民間活力を引き出す考え方だ。

北九州市は介護保険条例に「市は、標準となるべき契約書を作成し、これを公表する」という市の責務と、「事業者は、市が作成する標準となるべき契約書を尊重するよう努める」という事業者の責務を盛り込んだ。これもまた全国初の試みである。

 

 

 

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