政令指定都市の中で介護認定審査を各区ごとではなく市として一本化しているのは北九州市だけ。「区ごとにやれば地域密着になり回数も増やすことができるが、要介護認定の平準化がむずかしくなる。一か所でやれば委員への説明や研修、実際の作業も一元化できます」と、介護認定審査会を運営する総合保健福祉センターの清田千年管理課長は語る。これにより市民の介護保険に対する不満が解消された。県の不服審査会に北九州市からの申請は一件もない。
弁護士会と共同で標準契約書を作成
「サービスの質」を確保するための取り組みとして注目されているのが「契約書」の活用だ。介護保険の特徴は、これまでの税金を使った「措置」から保険に基づいて利用者がサービスを選ぶという「契約」への大きな転換である。しかし、厚生省はサービスを提供する事業者とサービスを受ける利用者との間に契約書を取り交わすことを義務付けていない。これでは何かトラブルが起きたときに責任の所在があいまいになり、交渉力のない利用者は困ってしまう。
そこで北九州市では、トラブルを未然に防ぎ、適正な介護サービス利用契約が締結されることを目的として、福岡県弁護士会北九州部会と共同で「介護サービス利用標準契約書」を作った。一部一〇〇円で販売している。同様の契約書を作った自治体は、東京都や名古屋市、神奈川県など数えるほどしかない。
総務部監査指導課の高田照男課長によると当初、厚生省が契約書のモデルを作るとの話があったが、さたやみになったため急きょ昨年の十一月から作成に取りかかり、今年一月には原案を発表、三月一〇日に契約書(一六種類)の発表にまでこぎ着けた。