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ただその一方で、「困ったときはお互いさま」という暮らしの助け合いを理念としてきただけに、正直なところ、ビジネスにならざるを得ない介護保険事業は気が重い部分もあるとも告白する。

「でも、弱音を吐いても何の解決にもなりませんから、前進あるのみ。われわれの目的は今も昔も、この岸和田の地にふれあい社会をつくり出すということ。そのための一つの手段として、介護保険事業をとらえていこうと考えています。介護保険事業によって収益が上がれば、今までやりたくてもできなかったことだってできるわけですから」

和田さんがやりたいこととは、ずばり会員のための生きがいづくりの場の開設。そこで絵画や織物などの趣味的なクラブ活動を行ったり、会員相互がふれあうたまり場として、あるいは友達づくりの場として活用してもらいたいというのが当面の目標だ。そしてこうした活動を通して、NPOの存在感を地域の中に浸透させていきたいというのがその先に見据える目標でもある。

「NPO法人を取得したことで、われわれのような市民団体のことを認めてくれる人も出てきましたが、まだまだ一般的には、“NPOって何?”という反応のほうが多いのが実情。それを今後、どう社会にアピールしていくかを考えた時、必要なのはまず、人々が求めてはいるけれど、企業も行政もやらない活動を行って、その存在感を示すことではないでしょうか。また、NPOが雇用の受け皿になるということも大切だと思うんです。

 

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さまざまなサービスを通じ地域の人たちの助け合いの輪が広がっていく。

 

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