日本財団 図書館


自己負担の一割分はいつ払うのか?これは各事業者と相談して集金、振り込み、自動引き落としなどの方法で個別のやり方になるのでよく確認しよう。S家の場合、K事業所は毎月ヘルパーに支払い、T事業所は2か月に1回集金に来ることになった。

 

ケアプラン自己作成は社会を動かす鍵

 

今回のケアプラン作成を振り返ってS女史は「確かに苦労は多かった」と語る。まず何よりも情報が少ないし、そもそもどこに情報があるのかもわからない。また肝心のサービス依頼先を探そうとしても、関係しているケアマネジャーが立てたプランしか請け負わないと拒否されてしまう。行政も消極的。これでは利用者の立場はどんどん弱くなってしまうばかりだ。

そもそもケアプランを自分で立てることの意義は何だろうか?京都府で昨年夏に「マイケアプラン研究会」を発足させ、ケアプランを自分で立てようという運動を推進している四天王寺国際仏教大学文学部人間福祉学科の小國英夫教授は、「ケアプランの自己作成は、社会を動かす運動になる」と市民主導の意義を訴える。

「利用者が選択して契約するという介護保険の性格上、ケアプランは自分で立てるのが筋なのだが、一般にケアマネジャーが立てるものという概念が当たり前になってしまっている。しかも今のシステムで利用者のニーズに正しく応えられるかは疑問。幸い介護保険は国ではなく各市町村の裁量で動かされるもの。自己作成の動きが全国のあちこちにわき上がれば市町村もそれに対応せざるを得なくなるし、市町村単位ならば比較的対応しやすい」(小國教授)

厚生省でも「ケアプランの作成は煩雑な上、毎月行わなくてはならず非常に大変だが、自分で作るならその覚悟と責任を持ってきっちりとやってほしい。しかし、利用者が権利意識を持つ上で、やる気を出してケアプランを立ててみようと思うのはいいこと。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION