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この「介護時間しらべ」は昨年十二月からやっています。一二〇人、延べ四〇〇日間分について集計して分析し、その結果に基づいて在宅要介護認定調査を改善してくれるよう厚生省に要望書を提出する予定です。

 

家族の会は昨年十一月二九日にも「介護保険に関する緊急要望書」を出しましたが、その効果はありましたか?

 

痴呆性老人を介護する家族にとってもっとも助かるショートステイ(短期施設入所)の利用制限枠が広がりました(最大、六か月当たり一四週間)。痴呆性老人を抱える家族は介護保険が始まる前も一か月に二週間ショートステイを使って辛うじて介護を続けてきただけにありがたい。ただ、その費用の支払いについては全額先に支出して後から補てんされる償還払い方式です。これを一割の自己負担分の支払いだけで利用できる現物給付方式にしてほしいと厚生大臣に要望しています。

(※)その後の報道発表によれば、現在一年後をめどに検討の方向で調整中の模様。

 

呆けても安心して生きられる社会をめざして

 

「呆け老人をかかえる家族の会」ができて今年で二〇年。介護保険の実施とちょうど重なりました。これを節目に今後どのような活動をなさいますか?

 

家族の会の活動の柱は介護に当たる家族が互いに励まし合い助け合うことです。ただ痴呆性老人の介護は介護に当たる家族だけの問題ではありません。社会全体の問題として訴え、介護サービスの充実を進めてもらう。この二つを柱に活動してきました。二〇年前、二〇人の有志が呼びかけて九〇人で旗揚げした「家族の会」の会員は全国三九支部六五〇〇人に増えています。

呆けても安心して生きられる社会をめざしてこの二〇年間、家族が声を上げてやっとここまでやって来ることができました。これまでに厚生省に提出した要望書は一四本に達します。二〇年前に会を旗揚げした時と同じように気概を持って一から、介護保険の改善に取り組んでいきます。介護保険によって痴呆性老人問題がどう変わったかについても調査します。会を設立した当時に比べると社会の痴呆老人に対する関心も高まっています。介護保険は痴呆性老人対策を進めるための追い風になるでしょう。

介護は家族の力だけではできません。社会的に支える体制が必要だと一貫して叫んできました。これが「介護の社会化」として介護保険に結実したのです。

 

 

 

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