今まで受けていたサービスがそのまま受けられるかというとそうではありません。また今まで受けていたサービスをそのまま受けようとすると自己負担が重くなることがあります。
利用者はこうした介護保険の仕組みと矛盾を知っておかなければなりません。
未熟な調査員と家族の対応
たとえば、それはどんなことでしょうか?とりわけ痴呆性老人の要介護認定には問題かあるとか。
一つには調査員の問題。痴呆の人は知らない人が会うと普通に見え、調査員の質問に対して何でも「できます」「できます」と答えます。それを未熟な調査員が真に受けると要介護度は実態より低く出てしまう。家族がその場で訂正すればいいのですが、本人の前では言いにくい。調査員も家族も新しい仕組みに対してまだ未熟です。
ですから、悪いやつは「だれでも要介護5になれる介護保険攻略法」なんていう要介護調査の答え方マニュアル本を売り出すかもしれませんね(笑)。
ただ、要介護度は高ければいいというわけではありません。必要以上に高い要介護度になってたくさんの介護サービスを受けることになれば重い自己負担金を支払うことになるからです。給付限度額の範囲内で今利用しているサービスが受けられるなら要介護度は低いほうがいいんです。本当にその人にふさわしい要介護度を見つけることが大切なのです。
「介護時間しらべ」をして要介護度を正確に判定してもらう
そのためにどんなことをしたらいいのでしょう?
家族に「介護時間しらべ」を作るよう勧めています。所定の用祇に介護の所要時間、その内容、高齢者の動きと様子、介護者の動きを毎日記入することです。これには三つの効用があります。
一つは家族が介護のためにどれだけ生活を拘束されているかという介護の実態を改めて自覚できること。二つ目は、これをコピーして調査員に渡すと家族が介護にどうかかわっているかを調査員に知ってもらうことができ、正確な調査をしてもらうことができます。さらにコピーをかかりつけ医に渡すと二次判定のための意見書記入にも役立ちます。