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99年3月、市長自ら高齢者に扮して介護保険をPR。

 

介護保険に対して万全の体制で臨んだ高浜市が、それ以上ともいえる意気込みで取り組んでいるのが、要介護認定で「自立」と判定された高齢者への福祉サービスだ。介護保険と介護予防は「車の両輪」。四月一日、介護保険事業計画および高齢者保健福祉計画を実施するための介護保険・介護予防総合条例を施行した。それには第三者による介護サービス評価システムの構築、苦情処理体制などが盛り込まれている。

 

市長の熱意が福祉を変えた

 

わずか一〇年前までは、高齢者福祉の後進地域だった高浜市が、福祉先進地として脚光を浴びるまでになったのはなぜか?そこには市政を引っ張る森市長の福祉に対する熱意と行動力、それを実行する市職員と支持する市民の姿がある。

「小さな自治体が生き残っていくためには独自性を打ち出すしかない。家族と一緒に暮らし、安心して地域で一生を終えることができるシステムをつくりたい」。こんな森市長の思いから在宅介護に重点を置いた福祉のまちづくりが始まった。

市長の情熱を物語るエピソードを紹介しよう。在宅介護をバックアップする施設整備は順調に進んだが、最後まで老人保健施設の整備が手つかずだった。そこで相談を持ちかけたのが子供のころからの友人、石川征雄高浜医師会長である。

「駅前の飲み屋に誘われて三時間くらい話しました。『医師会をまとめてほしい。何かあったら任せてくれ』と説得されたんです」と石川医師は当時を振り返る。こうして賛同する五人の医師と共に医療法人「碧会」を設立、九八年五月、市から貸与され土地に老人保健施設「こもれびの里・高浜」を開設した。

 

情報収集力を強化

 

施設整備をはじめとして、福祉サービスの充実にはお金がかかる。

 

 

 

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