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六五歳以上の高齢者全員に面接

 

上乗せ額が大きくなると保険料は当然アップする。高浜市の場合、第一号被保険者(六五歳以上)の保険料の基準月額は、全国平均の二八八五円を大きく上回る三四二三円だ。高い保険料を取っても、それに十分見合ったサービスを提供できるという自信とその裏付けがある。

たとえば在宅サービスの整備目標に対する達成率(二〇〇〇年三月現在)は、ホームヘルパーの九三%を除いてすべて一〇〇%を超え、訪問入浴と訪問給食サービスは二〇〇%の達成率だ。また、施設サービスでは目標を設定したすべての施設分野で一九二%の達成率となっている。これなら利用者は安心してケアプランを作り、サービスの提供を受けることができる。

計画の策定に当たって役に立ったのが、九八年七月、六五歳以上の高齢者五一二四人全員に対して実施した訪問調査だった。「国の調査項目に痴呆関連など市独自の調査項目をプラスし、管理職を除く市役所の全職員が手分けして聞き取り調査を行いました。これが大きな財産になっています」と森貞述市長は語る。市職員にとっても介護保険を理解する上で、勉強になったに違いない。市職員総がかりで五〇〇〇人以上もの全高齢者を一人残らず面接調査した自治体は、ほかにはあまりないだろう。

 

介護予防を条例に明記

 

サービスを利用する人はサービスの質が高ければ少々保険料が高くても満足するだろう。しかし、利用しない人は、他の自治体と比べるからどうしても不満が出がち。この点について岸本福祉部長は「市民にしっかり説明し、理解してもらうことが最重要課題」と気を引き締める。

 

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宅老所「あっぽ」を運営するボランティアグループ「ひまわりの会」の人々と、痴呆予防運動を体験する高齢者。

 

 

 

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