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心と教育 学校の新しいかたち

地域の中心となる学校をめざして

〜4年目を迎えた余裕教室を活用した高齢者との交流〜

干葉県 四街道市立八木原小学校

(取材・文/柳久美子)

 

「お手玉上手になったね」

「練習したから。ねえ、3つでやって」

「昔はできたけど、忘れたねえ。できるかなあ」

学校の余裕教室を転用した余裕教室を転用した和室で会話が弾む。奥ではおはじき、廊下ではこままわし…。毎週月曜日に開かれる、喫茶「欅(けやき)」での子供たちとお年寄りの交流の一幕である。

四街道市立八木原小学校の余裕教室で、高齢者の交流の場として、喫茶「欅(けやき)」がオープンしたのは1997年1月だった。児童との交流については、食事の場であることと不審者の侵入や安全管理面を心配して、消極的な意見をもつ先生もいて、最初は壁を隔てたままでスタートした。約1年後、バザーの時の食事作りをきっかけに、扉が開かれ子供たちと高齢者の交流が実現した。「来る人はみんな地域の人」だから、何も心配はいらなかった。それよりも「子供たちがお年寄りと自然に接することができるようになり、地域の方ともいい関係ができた」と教頭の行方久雄先生は満足そうに語る。最近は生活科の授業で、喫茶でボランティアをしている方々に協力してもらったり、「欅」で毎年行われる「クリスマス会」で1年生全員が合唱したりと、双方向での支え合いが始まっている。

「欅」を運営しているのは、NPO法人たすけあいの会ふきのとう。在宅のお年寄りの方々の援助を中心に特別養護老人ホームでの訪問喫茶、病院での待合室ボランティアなどを行っている団体である。地域づくりのために毎年1回の公開討論会も欠かさない。代表である国生美南子さんには以前から「学校を中心にした地域づくりをしたい」という思いがあった。だから、積極的にかかわってくれたそうだ。八木原小学校ではこの余裕教室を利用して、高齢者との交流を3つの団体と協力して行っているが、子供たちが自分の意思で自由に交流しているのは、「欅」での活動だけである。

 

 

 

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