「それこそ、どんどんアイデアが出てくる。広告代理店の人たちもボランティアで参加してきて、異業種同士だからこそ斬新な企画もできるし、多様な参加者も呼び込めた。その意味で例年とはまたひと味違った幅広い形で提言できたことは有意義だったね」と笑う。この笑いには実は意味があるのだが、それは後で述べるとして、早稲田大学と商店会、そして全国の自治体やNPO、市民の参集というキーワードにマスコミの関心も高く、主要全国紙がその内容を大きく報じ、NHK総合テレビでもその内容が取り上げられた。
では、ここで、簡単に内容の一端をご紹介しよう(骨子を要約して編集。当日の講師参加者などはシンポジウム「新しいふれあい社会の創造 IV」・講師一覧参照)。
二月二二日(第一日目)
挨拶 早稲田大学人間科学部教授 濱口晴彦氏
(午後1時〜午後1時10分)
全体セミナー「介護保険からはじまる協働社会」
午後1時10分〜午後2時10分
堀田力さわやか福祉財団理事長
「介護保険をつくられた側として、介護保険と横出しサービス、枠外サービスのあるべき関係、そして本当にみんなが安心して暮らせる社会にするために、どういう協働がなされればいいとお考えですか?」
山崎史郎厚生省老人福祉計画課長
「介護保険と保険外のサービスである生活支援の分野は車の両輪です。認定漏れ対策という消極的な位置付けではなく、介護保険に並ぶもう一つの大きな柱として中身も市町村に自由に決めてもらい、国は自主性を尊重しながら支援していくという考えです」
森貞述愛知県高浜市長
「NPO、民間企業、商店など、地域にはさまざまな財があります。そこにどう働きかけ、仕掛けていくかが行政として大事です。また、商店街の方々、あるいは町の大工さんまで巻き込んで高齢者を含めたコミュニティービジネスのようなものができないか。それによって地域もさらに活性化し、生きがいも生まれるのではないかと感じています。」
堀田理事長が進行役を務めたこのセミナーは、山崎・森両氏との計三名で行われ、堀田理事長からの鋭い質問にそれぞれの要職から率直な意見が出され、会場内のあちこちでメモを取る光景が見られた。引き続いて、参加者およそ三五〇名が事前の申し込みをもとに、各地の事例をもとに語り合う三つの分科会にそれぞれ移動した。
[分科会] 午後2時30分〜午後5時
分科会1「自治体と市民のパートナーシップ」