堀田 そこにお医者さんも加わっていますから、すばらしいネットワークですよ。
内藤 本当に、みなさんいい方ばかりで感謝しています。でも最初から意図してこうなったわけじゃないんです。窮余の中から次第に広がっていったというか。
堀田 最初は娘さんががんばって一手に介護をやっておられたんですよね。
内藤 そうなんです。私自身が大変さを理解できなくて、仕事と両方ですから倒れる寸前にまでなりまして、医師の先生から「別居させなさい」と。息子では無理ですし、ちょうど結婚したばかりでしたから、自分たちの生活を楽しみなさいと言って、残るのは私だけです。家事など何もしたことのない私も、ようやく覚悟を決めて会社を辞めたのが発病してから二〜三年後ですね。
堀田 それで外に助けを求められた。
内藤 まず市役所へ飛び込んだんですが、六五歳以上じゃないとだめだから保健所へ行きなさいと門前払いです。でもそこの保健婦さんがとてもいい方でボランティアさんを紹介してくれたんです。本当に困り抜いて、助けを求めて、そこから地域の人との出会いの輪が徐々に広がっていきました。
堀田 痴呆の方がいるご家族はどうしても隠したがることが多いですが、内藤さんは積極的に奥様のそのままの姿を地域のみなさんに見せられているのがすばらしいなと思うのですが。