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出典は忘れましたが、「子供というものは3歳までに一生分の親孝行をしてしまっているのだ」と書いた本がありよした。可愛くて可愛くて、目に入れても痛くないという無上の幸福感を親に与えてくれる。それが3歳までで、つまり子供はそれまでに親孝行をし尽くしてしまったのだから、それ以上の期待をしないほうがいいという考えです。

世間を広く見渡してみますと、親の期待どおりに育っている子供はむしろまれではないでしようか。あなたのご長男は、最難関の国立大学に現役で入学し、一流銀行に就職されたというのですから、普通の親御さんの何倍もの親孝行をしてもらったことになります。家も建ててもらって住んでいるというのでしょう。余分な出費がなく、老後の資金が減らなくてよかったと思えばいいではありませんか。ものは考えようです。今はもう、子供にいくら親の老後の面倒を見たい気持ちがあっても、結婚すれば自分たち夫婦の生活と子供の教育が精一杯で、親の面倒までは見られない時代になっています。子供を一人前に育て上げたら、もうこれでよし、あとは夫婦がお互い助け合って生きる。それしかないようです。

残念ですが、ご主人のほうが達観されているように思います。

ご長男も、きっと心の中でご両親にお侘びしていると私は思いますよ。

 

 

 

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