設立当初は、住宅街の真ん中に大きな施設ができたことから、日照問題、車の出入りが多いなどの苦情もあり、近隣と何度も話し合いを行った。その後、祭りの神輿の中継点に施設を使ってもらったり、行事がある時など遊びに来ませんかと誘うなど近所付き合いもできるようになり、地域の自治会も施設の存在を認めるようになったという。「本当は近所のご老人に気軽に使っていただけるといいんですが、有料(かなり高額)で入居している方々とのバランスもありむずかしい問題です」「介護保険との関連で居宅介護支援事業者としての資格も取っており、今後はそれを生かした別の有料事業として地域にサービスを提供していきたいと思います」と今澤支配人。悩みも課題もいっぱいの毎日である。
ミサワホームの吉田肇健康開発部運営課長は「現在、地域のボランティアの方々には水彩画、歌、俳句、書道などの先生として協力していただいています。今後は近くのNPOと提携して、配食サービス、ホームヘルプサービスなどにも力を入れていこうと思います」と語る。現場のプロの職員が専門的な力をつけ、地域NPOとの連携も一段と深めていく、企業が営利追求だけでなくそうした新しい事業の形を確立していけば、やがて地域に住民同士のやさしい助け合いの輪が広がるきっかけともなる。同社の取り組みが今後どのように広がっていくのか、その行く先を見守りたい。
(取材・文/三上彬)