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聞けば、へたな落語を一日聞かされたとか。また、ひな祭りのイベントの時に雄びなの格好をさせられたおじいさんは、“バカにしやがって”と憤慨してました。そうかと思えば、たばこ一本好きに吸えないと嘆いている方もいらっしゃいましたし…。その時に思ったんです。お年寄りを子供扱いしたり、個人の尊厳を傷つけるようなサービスは、決してしてはいけないと」

事業的には「ゆずり葉」ではこの他、ヘルパー研修をはじめとして、企業健保組合研修や福祉教育研修、健康福祉関連イベントの委託事業なども請け負うそうだが、その収入で、ミニ・デイサービスの運営資金を捻出していく予定。

そして活動が軌道に乗り、条件が整えば、いずれはショートステイも視野に入れていく計画もある。ただし、まずは地域住民の理解を得て、お年寄りが気軽に集える場として認知度を高めていくことが当面の目標だという。

「あの家の前を通ると、いつも誰かがいる。楽しそうだから、ちょっとのぞいてみようかといった感じでね。大層なことはできなくても、そういうお調子者みたいな家が、近所に一軒ぐらいあってもいいんじゃないかしら(笑)」

一つの建造物が町を変え、地域の価値観すら変えて人の輪を広げていくことは、十分あり得ることだと思う。地域ファミリーの形成をめざして奮戦を始める、「ゆずり葉」の今後に期待したい。

 

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担当者への報告会。

 

 

 

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