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六五歳以上の高齢者から徴収する介護保険料は、所得に応じて五段階に区分されているが、千葉県流山市はこれに「異議あり」として独自に六段階の区分を決定し、市民の了解も得ている。この「流山方式」がどのような経緯で生み出されたものなのか、流山市を訪ねて聞いてみた。

 

低所得者の負担を軽くする六段階区分

介護保険法で定められている六五歳以上の第一号被保険者の保険料は、所得に応じて五段階の定額になる。第一段階は生活保護または老齢福祉年金を受けている人で、保険料率は基準額の○・五、第二段階は世帯全員が住民税非課税の場合で基準額の〇・七五となる。第三段階が基準額そのもの。この基準額は世帯内に住民税課税者がいても本人が非課税の場合の金額だ。第四段階は本人が住民税課税で年間所得額が二五〇万円未満の人で、保険料率は基準額の一・二五。そして第五段階は住民税課税で年間所得額が二五〇万円以上の人で、この場合は基準額の一・五となる。

この五段階区分に千葉県流山市が「異議あり」と手を挙げた。代わって提示したのが六段階区分である。第五段階の上にもう一つ第六段階を設け、それぞれの段階の保険料率を順に、基準額の○・三、〇・七、一・○、一・二五、一・五、そして第六段階を二・〇とし、年間所得額が一〇〇〇万円以上の人をこの第六段階に区分した。

区分を五段階から六段階に増やしても、保険料の総額には差がない。仮に月額保険料の基準額を二八〇〇円とした場合、月額の総計は五段階区分では五三九一万九六〇〇円、六段階区分では五三八四万八三四〇円となり、その差は小さい。保険料収入全体にはさほど影響を与えず、低所得者の負担を軽くして、その分を高額所得者に補ってもらおうというのが流山市の六段階区分である。

 

保険料率の最低と最高の差を六・七倍に

流山市は千葉県の最も西北に位置する緑豊かな新興住宅都市だ。東はこの地域の商業の中心地柏市に、南は「すぐやる課」で有名な松戸市に接している。人口は一五万人。市民の大多数は「流山都民」として都内に通勤するサラリーマン世帯である。

 

 

 

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