決勝卜ーナメント戦は、混戦となった。予選リーグ戦で、前年度優勝の長野八ーモニーと、強豪・おおがきレディース(岐阜)を同パートに持ちながら、見事決勝卜ーナメント戦進出を決めたカトレア(広島)は、1回戦で文葉みどり(千葉)に敗退。予選リーグ戦では好調だった岩手はまぎくも、2回戦で熊本尾ノ上に12-15で敗退。唯一、前評判通りのプレーで勝ち上がり、決勝進出を決めたのは岩手盛岡レディースぐらいであろう。もう一方のトーナメント枠からは、ひまわりが堂々決勝へ進出を決めた。
決勝戦は、序盤から岩手盛岡が積極的に攻め、試合の主導権を握り続ける。終盤にさしかかり、ようやくひまわりの攻めがはじまるが、残り時間はあとわずか。ひまわりの米沢主将の活躍でなんとか同点に追いつくが、その時点で競技時間終了。あとは、米沢主将が味方ボールを上げれば逆転勝利という緊迫した場面を迎える。多くの観客が見守る中、米沢主将はプレッシャーをもろともせず、落ち着いたプレーで見事に上げ逆転に成功して15-13。さらに自球も上がり、17-13の大逆転劇を繰り広げた。
結成3年とまだ経験の浅いひまわりを優勝へと導いたのは、窮地に陥りながらも冷静にプレーを続けるプレッシャーへの強さにある。事実、決勝戦では終盤まで相手にリードを与えるも「あわてなかった」と語る。それと同時に光っていたのがチームワークの良さがもたらす確実なプレーと、作戦の組み立て。そのバックグランドには、あのさつまの宮田昇主将の教えがあるという。
「いつも宮田さんには全部のボールがアウトボールにされてからの作戦の組み立てが大切と言われています」(米沢主将)
一方の岩手盛岡も、地元では「たぬき」のチーム名で活動しており、その名付け親でもある岩手矢巾の長沼正知主将の指導を受けてきた。
決勝戦、コートを囲む観衆の中には、肩を並べて両チームの戦いを見守る両主将の姿が見られた。