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一方、今回の観測ではSARTの高さは予め1mおよびO.3mに決められている。計算により、それぞれの高さにおけるレーダ水平線は約9海里および約8海里である。

観測に用いたSARTは円偏波と水平偏波の2形式があり、それぞれ1mおよび0.3mを保つようにブイの頭部に取り付けられ、作業船に搭載して移動する。所定の距離に到着すると、選択したSARTを海上に投下する。観測時間の制約から観測内容を選択する必要があり、今回の主な目的である円偏波SARTの海面高さ1mの場合を中心に、受信強度を計測した。

計測システムのブロック図を図6.2.3-2に、またA/Dコンバータの機能のうち、今回使用した要目を表6.2.3-2に示す。また、A/D変換の範囲決定とデータの表示方法の概念図を6.2.3-3に示す。

 

表6.2.3-2 A/Dコンバータの要目

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資料6.2.3-2に示す通り、始めにレーダ画面から必要な部分を計測範囲設定装置によって指定し、その範囲内のレーダビデオ信号をA/D変換して記録する。計測範囲は、PPI画面上に表示される。図6.2.3-3左側に示すように、計測開始角度θsと終了角度θeを示す直線が表示されるので、この範囲にSARTの信号が入るようにθs、θeを動かせばよい。記録データは一度ハードディクスに保存され、これを介してパソコン上で操作することができる。

また今回の観測では、参考のために、レーダPPI表示の映像をダウンコンバートし、時刻信号を加えてNTSC方式でビデオテープにも記録した。

これらのシステムを用い、作業船を14海里以上遠方から、徐々に陸上観測地に接近させて観測を開始した。始めにSARTの反応が現れる距離を確認したところ、高さ1mの場合で約8.5海里であった。そこで、この距離から一定間隔で接近させることとした。

観測した距離および設置したSARTの種類を表6.2.3-3にまとめる。

 

 

 

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