6.2.2.3 評価
円偏波SARTは航空機からの視覚的観測においても、安定して受信できた。しかも30海里を超えて、最大で37海里まで観測できたことは極めて大きい成果といえる。しかし、この37海里の視認距離は、SARTの設置位置や方向があらかじめ判明した状況での「ビーコン・モード」での観測結果である。したがって、位置がわからずに救難捜索活動を行っている状況における明瞭なSART信号の視認距離は若干短くなるものと推定される。
6.2.3 陸上レーダのディジタルデータによる定量的観測と評価
6.2.3.1 観測の目的
1] 円偏波SARTの特性を評価するために、動揺のない安定した状態に設置されたレーダからSARTの信号を観測すること。
2] レーダからの距離の変化に伴うSARTの信号の変化を定量的に記録し、偏波面の違いによる効果や理論値と比較するデータを収集すること。
6.2.3.2 観測方法等
海上実験を行なう海域(以下、実験海域とする)を適当な高さから観測できる場所を予め調査し、候補地の中から、実験海域を良く見渡せる小田原市根府川(以下、陸上観測地とする)を選択した。
陸上観測地にはXバンドレーダを含む観測・記録システムを装備した東京商船大学研究用レーダ車を設置した。使用したレーダの要目等を表6.2.3-1に表わす。