これらの飛行は全て順調に行われ、チェックの結果は良好と言う事であった。海象は最も波浪の高い時で0.64m(有義波高)であり、最大風速は横風で約20ノットの日があった。
パイロットの意見は概ね「陸上空港と何ら変わりない」と言うことであった。
浮体の動揺の影響が見られなかったため、ローパス試験時に、モデルのバラストタンクに漲水して、故意に約30cm撓ませてみたが、その影響は分らなかった。
(2) 離着陸時の浮体空港機能確認実験 (12年)
離着陸時に騒音(空中、モデル内、水中)、振動、磁気(モデル上、航空機内磁気コンパス)、航空機内の加速度(離着陸時)を測定した。磁気以外の測定結果ではすべて問題になる点はなかった。磁気については浮体上での方位の偏向、及ひ磁気コンパスの浮体端部上での一瞬の振れがあった。(だだしドルニエでは特に大きな乱れは無かったとしている)
これらの計測結果により、既に開発した夫々の予測シミュレーションプログラムの検証を行い、いずれも良好な整合性があることを確認した。さらに、このプログラムにより、大型浮体空港での大型機によるシミュレーションを行い、夫々、問題のない結果を得た。
(3) 慣性航法装置の研究 (12年)
慣性航法装置(INS)は基点調整のために一定時間(約15分)静止状態になる必要がある。しかし、ごく僅かながらも動きのある浮体空港上では、この基点調整が可能かどうかが懸念されていた。そこで、離着陸実験で着陸した航空機が空港モデル上で基点調整を行った結果、問題がないことを確認した。また、航空会社からこの装置を借用し、実験室内で加振して、どの程度の揺れまでが許容されるかの実験も行ったが、通常のメガフロートの動揺では問題にならない事が分った。
1.4.5 環境影響調査研究
(1) 付着生物防止実験 (10年、11年、12年)
先ず、モデル設置場所の環境事前調査を行い、実験中にも定期的に調査して、環境の変化を追跡した。調査項目は水質、底質、生態系などとした。事前計測では水質は鉛直方向で差がないこと、底質、底生生物は水深による差が大きいこと、浅い所では有機物が少ないこと、底生生物の種類が多いことなどが分った。
付着生物防止実験中の計測値は季節的にも変化して一定の傾向をつかむ事は難しいが、浮体周辺部下方の底質で若干の変化が見られるものの、いずれも大きな変化はなかった。
付着防止では、当初から気体層を形成させた区画では付着生物はほとんど観察されず、気体層による付着生物の着生防止効果が認められた。
生物付着後、気体層を形成させた区画では付着生物の除去効果が認められた。なお、別に実験室での観察によれば、付着生物は気体の中に入れると約3週間程度で死滅すると言う結果を得ている。
気体層を空気と窒素の2種類で行った実験では、両気体での有意の差は認められなかった。
(2) 魚類に及ぼす水中音の調査 (12年)
実験に用いた最大の航空機(デハビラント)の離着陸時に水中音の計測を行い、そのレベルが魚に対する威嚇レベルより低いことを確認した。この計測結果を用いて先に開発したシミュレーションプログラムの検証を行った。また、このプログラムで大型機を着陸させる場合のシミュレーションを行い、威嚇レベルより低いことを確認した。