実験の結果、多重反射の影響は舗装の厚さによりパスの変化の度合いが複雑に変るが、これらを含めてパスの変化をシミュレーション計算で確かめることが出来た。(電子航法研究所のプログラムによる)
なお、このプログラムを更に改良して、次項のフライトシミュレーションの研究に利用した。
(3) フライトシミュレーターヘの組込みとシミュレーションの研究 (10年、12年)
変形した浮体構造物の上面で計器着陸装置(ILS/GS)の反射電波がどのようになり、結果として飛行機にどのような信号を与えるのかをシミュレーションするプログラムを、前項のとおり開発したので、前記「1.3.6(2) シミュレーションプログラムの作成」により開発した浮体上面の変形計算の上に重ね合わせ、航空会社の持つ大型ジェット機のシミュレーターにその結果を組込んだ。
シミュレーションは大型浮体空港に通常有り得る程度の浮体の揺れ角(0.014、0.027、0.036、0.054度)を与えて行った。
その結果、ILSは全ての状態で正常に働き、自動操縦で無事着陸できた。
パイロットの意見をまとめると、0.027度までは問題なく、0.036度では中程度の乱気流と併せると航空機の動揺が気になるとの意見が増えた。但し、1000フィート以下の高度になるとどの揺れ角でも殆ど問題はない。
この実験の揺れの大きさの目安は、当技術研究組合で試設計をした東京湾での4000m級の浮体空港を利用し、0.036度の揺れは年間最大級台風時(波浪の大きさは2年再現期待値)の揺れに相当し、0.014度は通常起こりうる範囲の状態(年間98%出現確立の波)での揺れに相当する。
(4) 計器着陸装置の機能確認実験 (11年、12年)
航空局及び電子航法研究所の検査機が浮体空港モデルの中央部及び西側端部に設けた計器着陸装置(ILS/GS-中央部、及びILS/LLZ-西側端部)の電波の状態を調査した。
飛行検査の結果、ILS/GSでは浮体の波浪動揺の影響は見られず、むしろ海上では障害物が無いために乱れが少なかったとの報告があった。ILS/LLZでは一部区域で若干の乱れが見られたが、許容範囲内であった。乱れは中央部に設けたILS/GSアンテナによる乱れが原因と考えられた。(本実験ではモデルの幅が狭いため、やむおえず中央部にアンテナを設けることになった)
(5) 進入角指示灯の機能確認実験 (11年、12年)
航空局の検査機が浮体空港モデルの中央部に設けた進入角指示灯(PAPI)の光線を検査した。
飛行検査の結果、浮体の波浪による動揺の影響は見られず、光線角度は許容範囲内に安定したデータが得られ、浮体上に設置されたPAPIは基本的な機能に問題はないことが報告された。
また、ILSとの間の相違についてチェックし、異常が無いことを確認した。
1.4.4 航空機による検証実験
(1) 浮体上でのローパス及び離着陸の実証 (11年、12年)
フライトチェックのパス回数及び離着陸とタッチアンドゴーの回数は合計で次のようになった。括弧内は利用した航空機の通称名である。
ローパス 346回 (YS-11、ビーチ99、ドルニエ、MH2000A)
離着陸 147回 (ビーチ99、ドルニエ、アイランダー、ダッシュ8)
タッチ&ゴー 111回 (ドルニエ、アイランダー)