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しかしこの研究プロジェクトでは、諸般の制約から専ら国家公務員に対する民間からの評価を調べることになっていた。とはいえ、折角の機会であるところから、最初にすべての公務員に対する国民の期待を概括的に調べ(第1〜3項目)、ついで後半(第4〜9項目)で国家公務員に対する要望を詳しく調べることにした。

また「市民第一」の調査では、この報告書の前文にはっきりと、これまでの調査では「市民の政府業務に対する概括的な認識ないしは態度を調べることが中心であった」と反省していた。したがって「市民第一」の調査のポイントは、「市民の目から見た特定の政府業務の成果を正確にはかる尺度を設定し、かつ市民に提供するサービスを改善するために、管理者は何をすべきかを確定する」ことに置かれていた。つまり市民の公務に対する概念的な意向調査ではなく、市民の目線に立って、どんな顔の公務員がどのようなサービスを提供すればよいのか、具体的な市民の要望に応えることを狙っていると理解した。そこですぐさま調査票の記入に際して、「顔の見える公務員像」を、「会社や団体の見解ではなく、民間の立場からあなたご自身の意見をお伺いする」狙いを、特別に要請したのであった。参考のために、この「日本編」報告書の最後に、国内版調査票を添付する。

 

2 国内版調査票の集計結果

 

(1) 各種公務員に関する回答(要約)

 

わが国の公務員は、国家公務員と地方公務員とに分類され、地方公務員は都道府県職員と市町村職員とに分かれる。ところが国民の公務員に対する評価は、はたしてどの区分の公務員に向けてのものであるか、はっきりしない。そこでこの際、上記3区分の公務員に関して、接触の多寡、印象、サービスに対する期待について調べてみた。(B-1〜4表参照)

 

1] 公務員の種類と接触の多寡

 

市民が公務員と接触するのは、なにかの公的な所用があるからである。ところが普通には、所用は専ら市町村レベルの第1線行政に関するもので、国家公務員との接触は少ないのではないかと考えられている。今回の調査ではB-1表のような結果になり、国家公務員との接触が意外にも多い反面、都道府県公務員との接触が少ないことが判った。行政の地方分権が話題になっている昨今、考えさせられるデータであった。

 

 

 

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