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公務員は厳しく(heavily)組織化されており、一般的にみて民間より寛容な給付(generous benefits)と身分保障(job protection)とを享受している。また、上級管理者の給与(compensation)が競争水準以下に低下した反面、下級公務員の賃金(wages)は、一般的に見て民間産業で匹敵するスキルを持った労働者よりも高い。公務員に汚職はないとされているが、政治的圧力の犠牲になることはある。

 

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中央人事機関は高度に独立しており、政治的に任命されるのは最高級の公務員のポストに限られている。公務員の職務分類システムは、給与を必要なスキルの程度によりよく反映させるために、厳しい見直しを受けている。しかし新しいシステムは、公務員給与を民間部門の給与と競争できるようにするほど有効なものではない。身分保障については、民間部門より優れている。

 

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公務員の規律は、明確な倫理のガイドラインが設定されていると共に、不適当な行動に対処する優れたシステムが開発されているために、概して良好である。万一何かが発生すると、公務員は秘密の保持に有効過ぎるほどであり、政府から情報を引出そうとする大衆やメディアはフラストレーションを起こし、やがて情報アクセス法(The Access to Information Act)の見直しが始まる情勢にある。政府は法規の制定に当たっては、民間部門に諮問するとはいえ、公務員は民間企業から十分に引き離されている。

 

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公務員は、公共サービスの提供を改善するために、新しい技術の発掘を積極的に進めている。しかし、この点に関する努力は遅れがちであり、民間部門に見られるような業務組織の改革に及ぶほどではない。さらに公務員給与には業績加算がないことと、過失に対しては公務員を非難する政治の圧力が加わるために、相変わらず革新とリスクを取る妨げになっている。さらに、給与の競争力低下と経済における政府の役割の縮小により、公務に新しいタレントを採用することが一層困難になった。30年まえ、大卒トップ層は迷わず第一に公務を選択した。今日、彼らはますます政府を最後の雇用者と見るようになっているようである。将来における管理者層の質は、憂慮すべき問題である。

 

 

 

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