このフォーラムは、「市民第一」のプロジェクトに積極的に関与しており、結果の実施・展開にも意欲を示した。博士はその中でも公共政策の選択が大事だとして、カナダマネジメント開発センター(CCMD)と協力し、官民各界の上級管理者層研修の必要を強調した。この活動が十分でないと、公務におけるダウンサイジングに支障をきたすと警告した。
なお面接の最後に、筆者はカナダの組織における同博士のような博士号(Ph.D)所有者の役割について質問した。その答えは、現状ではその数は少ないが、内外の現状から見て、特に政府組織においてもこれからは増えるだろうと強調した。Ph.Dクラスの専門性を具備した政策を扱うのでなければ、政府の影響力は低下するのではないかと愁うるからだという。
8 ジュディー・マクセル女史
(カナディアン政策研究ネットワーク株式会社社長)
8月14日午後3時、アルバート通り中央に位置するこの研究ネットワーク会社に訪ねたマクセル女史は、面接時間を出来るだけ短くして欲しいなど、鋭い質問をする方だった。彼女はこれまで約35年間、専らシンクタンクとその関連するコンサルタント業務、研修関連業務に従事し、5年前にこのネットワークの社長(President)職に就任したという。現在このネットワークが受託している業務は、連邦政府と州政府との関連業務が多いようであった。彼女は強い連邦政府は必要だとしながら、思い切った管理者への権限委譲により、管理者の自己管理意識を高めると共に、実績に応じた処遇(performance management)をすることが重要だと強調した。
さらに彼女は、今回の国際比較調査に関連して、これから公務で必要になるのは、次のような職種であると、断固とした口調で述べた。これまでの彼女の経歴からみて、それ以上の質問は遠慮した。