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7 ピーター.E.ラルソン博士

 

(公共政策フォーラム専務理事)

8月14日(月)午後1時、この日休暇から帰ったばかりのラルソン博士をアルバート通りのフォーラム事務所に訪ねると、博士は目を輝かして待っていた。実は同日午後遅く、後述するように、筆者らが宿泊しているホテルでアルバイトをしている博士の長男を面接する予定になっていた。そうした事情のためか、博士との面接は初対面とは思えなかった。

博士は現在54歳、カナダで大学を出たのち企業に就職、やがてフランスに渡り、1975年にグルノーブル大学で経済学のPh.Dを取得した。その後、企業や新聞社に勤務したのち1994年に現フォーラムに入職したという。昨今の担当は主に行政問題や公務員の研修で、民間の幹部職員研修も手がけている。そうした経歴の持主であるために、「市民第一」の調査研究に参加したという。

博士はカナダの連邦公務員問題を調べるには、まず首都オタワの歴史的背景を理解しておくがよいとして、次のような説明を加えた。

 

オタワ事情

オタワはカナダ第5の都市で、人口は約40万人、セントローレンス川の支流オタワ川の中流に位置する。ちなみに第1位の都市トロントには主な民間企業が本社を置き、第2位は西岸のヴァンクーヴァー、第3位はカルガリー、第4位はモントリオールだという。このような小都市が首都になったのは、1858年、イギリスのヴィクトリア女王が国内事情を熟慮の上で決定したためであった。女王はまず、この地域にフランス系とイギリス系の住民が混住しているところから、英仏両国語の接触点を選択した。ついで、当時まだアメリカとの間で領土保全の必要があったため、両国の国境から軍隊が歩いて5日かかるこの地点を選んだという。

 

なお、このフォーラムは1986年設立の中立的な公益法人で、150を越すこの国の官民各界の幹部職員(executives)代表で構成され、その目的と公務員の在り方との関係は、フォーラムのPR資料から引用すると、次のとおりである。

 

フォーラムの基盤

フォーラムは、政府が最高の質を備えた存在であるためには、それがカナダの生活水準を最高に保つ上で必須の条件であると同時に、社会のあらゆる部門と有益な話合いを重ねてこそ達成できるという所信を、共通の基盤とするものである。公共政策フォーラムデイヴィッド・ズスマン理事長の所見

 

 

 

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