なお女史は、公務員の労働条件は、民間よりはるかによく、また雇用の安定については昨今の離退職刺激策の成果に関心を寄せていた。さらにホテル業から見て公務における電話の応対が遅いことを批判した。
6 サム・ボウジオヴィス氏
(全国問題ビジネス・カウンシル副会長)
8月14日(月)午前11時、都心スパークス通りのカウンシル事務所を訪ねると、前月から父の故国ギリシャに出かけていて、出勤初日ということだった。同氏は当年39歳、行政学と経営学の両修士号を持ち、約20年前のこと、父親の勧めで最初連邦政府天然資源省に5年間勤務したのち民間に転出、やがてこのビジネス・カウンシルに移り、各部門の仕事を担当して10年になるという。
このカウンシルは職員数20人前後の小さな組織ではあるが、会員にはカナダの大企業150余社のほか、日本からも三菱、三井、丸紅などの商社が名を連ねている。取上げる問題はカナダの将来に拘わる諸問題で、すでにわが国の経団連からカナダにおける関係機関として紹介を受けたところであった。それだけに同氏は連邦政府が現在進めている新しい行政改革について、厳しい意見を述べた。
同氏は連邦政府が5年前に乗り出した予算と人員の削減そのものには異論がないが、新しい産業の育成を主眼にすべき点に関しては十分でなく、若い有能な人材の確保が困難な点を指摘した。特に市民の年齢分布と業務内容の急変に対応ができていないという。また現在先進諸国には中道左派政権が台頭し、イギリスのブレア首相は「第3の道」を模索している。しかしそうするための施策としては、カナダの場合「小さな政府」を指向しながら、その具体策としては、インフレの抑制、高級公務員の引退促進を唱えるくらいで、新味のある内容に欠けると批判した。
<面接結果>