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なおマルソン氏は、今回の調査が民間の見解を求めているところから、「市民第一」に関係した有力な公益団体のカナダ会合委員会(The Conference Board of Canada)にコンタクトすることを助言してくれた。8月9日午後、同委員会のボニー・シール女史に会えたのは、貴重なこの助言があったからだった。

 

4 ボニー・シール女史

 

(カナダ・カンファレンス委員会上席研究会)

8月9日午後、都心から多少離れたスミス通りの事務所に訪ねると、女史は昨年11月に入職したばかりだと断った上で、委員会の業務内容を話してくれた。委員会はオンタリオ州を中心に公務を含む約600の組織委員会に対し、「世界の変化にどう対応するかを示し、会員組織とカナダの国際競争力を高める」目的で、1954年に設立された非営利団体である。目下の関心事項は、オタワ地域を「カナダのシリコン・ヴァレー」にしようと意図し、各種の研修を行っている。委員会は現在210人余の職員を抱え、半数以上が研究職だともいう。

彼女は、当地の名門カールトン大学で社会学を学び、最初の10年間、連邦政府労働省に勤務した後、カナダ労働コングレスなどの民間組織に勤務し、現職に就いてまだ1年足らずだという。しかし「市民第一」の研究には積極的に参加した模様であった。現在彼女自身の関心事項は、第1に10年後の労働事情だという。それはカナダにおける第1次ベービーブーマーたちが、50歳を過ぎて早期退職する年齢になるからだという。また第2には、1998年現在、約8.3%の失業率を抱え、しかも農水産業を中心にした低賃金の労働者が多いので、そうした労働者をどう扱うかだという。しかもカナダは25歳以下の若年労働者の失業率は、1997年現在、男性15.7%、女性17.6%という高率である反面、移民を含めた外国人労働者の流入も多いところから、彼女の意見を静かにした傾聴した次第であった。

<面接結果>

 

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