日本財団 図書館


なおミケロン部長は49歳、17世紀に渡来したフランス系の家系に生まれ、大学で経済学を学んだものの、一時語学教師を務めたのち公務委員会に採用されたという。同部長は、既に紹介した「市民第一」報告書の成立過程について詳しく説明するとともに、財務委員会のブライアン・マルソン上席顧問にぜひ会うように勧めてくれた。

 

3 ブライアン・マルソン氏

 

(カナダ財務委員会事務局上席顧問)

8月9日朝、公務委員会ミケロン部長の紹介により前日朝訪ねた財務委員会事務局に赴くと、いま一人のブライアンさんが会ってくれた。このブライアン・マルソン氏は、年のころ50歳くらいか、ブライアン・ペーガン氏同席の下に要領のいい応答をしてくれた。同氏はブリティッシュ・コロンビア大学でアジアの歴史、特に明治維新を研究したのち、クインズ大学で技術管理学を学び、わが国のQTC(総合品質管理)にも詳しい知日派であった。

同氏は、「世の中は変わる」という信条の持主のようで、1995年までの日本は優れていたが、それ以降は戦略に欠陥があったために、今日に至ったと舌鋒鋭く述べた。しかし同時に、カナダでも公務における生涯雇用の考え方は、5年前に崩壊したとも主張し、彼自身の経験に言及した。彼は1981年、ブリティッシュ・コロンビア州の財務部長(comptroller)として、予算と人員の大幅削減に成功した経験を生かし、1994年1月に連邦政府幹部の研修所「カナダ管理者開発センター」(The Canadian Centre for Management Development: CCMD)次長に就任した。やがて同センターは1997年6月、所長のジャネット・R・スミス女史を中心に、各界の代表43人からなる委員会を構成し、翌1998年10月、あの「市民第一」報告書が完成する。そこで同氏は、報告書の実施のために財務委員会事務局の上席顧問になったという。

こうした経験の持主であるために、同氏は過去5年間の行政改革の機微に触れ、詳しい苦労を次々に披露した。その概要は、第V章「21世紀の公務員像」のところで纏めて述べることにする。

<面接結果>

 

054-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION