なおペーガン氏は、「市民第一」調査に関連して、なぜこのような調査が行われたかについて、次のような背景事情を説明してくれた。
「1994年度末現在、連邦政府は430億カナダドルの財政赤字を背負っており、累積赤字はGDPの約75%にも達していた。当時各州はオタワの連邦政府に税収の73%を納めていたが、いまは16%に切り下げられた。これは連邦政府サービスの切捨てと約25%に上る人員削減によるものである。」
2 バーナード・ミケロン氏
(カナダ公務委員会企業及び国際事情部長)
オタワの中心街ローリエ通りにある公務委員会に、事前にアポイントメントを取っていたミケロン部長を訪ねると、会話はまず5年前の財政危機の話から始まった。公務委員会としては、以来4年間に人員の20%以上、実数で55,000人もの削減を行う苦衷を味わった。そのために、1995年度予算に、新しい2種類の離退職促進措置を導入した(注6)。これらの両措置は、既存の離退職関連措置に上積みする形のもので、50〜55歳層の任期の定めがない(indeterminate)常勤職員を主な対象とし、全職員間の扱いの公平を期するための措置だった。第1の促進措置は定員過剰となった省庁職員を対象とする早期退職促進措置(The Early Retirement Incentive Package: ERI)、第2は定員過剰になる職員に、その60日前に事前通告し、その後の進路を決めさせる早期離職促進措置(The Early Departure Incentive Package: EDI)とであった。
こうした両促進措置の導入により、所期の人員削減には成功したものの、新しい問題を発生した。それは「悪貨は良貨を駆逐する」ように、必要な人材の多くが離退職し、後継者の確保が難しくなったことだった。しかし一般的にみて、カナダにおける公務員の社会的評価は高く、45歳以降の公務員の間では官民及び他組織間の異動は少ないとのことだった。
<面接結果>