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しかし、それでもなお、具体的なレーティングになると、高い評価値をつけにくいという点に、アメリカ国民の公務員に対するアンビバレントな感情がうかがえる。それは、公務員の評価が民間との比較で行われ、民間部門での人事評価の基礎を形作る競争的な条件が、公務部門で薄いことが公務員に高い評価をつけることをためらわせていると考えられるからである。

とくに、倫理については、1、2の回答者を除いて、公務員の倫理的なパフォーマンスヘの評価は面接による限り、相当高かった。それが低いのは、多くが、内部告発者の保護の点である。法的保護の制度はあるが、実質的に内部告発者が不利益にならないような保護は見込めないというのがその理由である。

人事行政機構の評価では、連邦公務員の場合、それは人事管理庁(OPM)への評価と重なっている。高い評価値をつけた回答者は、共通して以前に比べてOPMはよくやっていると述べている。確かに、公務員の任用について、OPMはインターネットを使って、国民に十分な情報開示を行っているように見える。SESについても、改革を積み重ね、受け入れられている。またダウンサイジングも、それが悪影響をもたらし公務員のパフォーマンスを低下させたというのは少数で、大半は、減員にもかかわらず、公務員は仕事をよく達成しているという評価になっている。

しかし、人事行政機構の評価には、回答者による分裂も認められる。共通した認識は、公務員の身分保障が民間に比べれば比較にならないほど厚いことであり、そのことをどう評価するかで、評価値が大きく違ってくる。

これに対して、類似した設問だが、人事行政システムの評価は、公務員の中立性と政治的圧力の程度をどう見るかによって、回答者の間に違いが出てくる。また、身分保障と裏腹に、労働条件は待遇では低く、福利厚生ではより高いという結果が出ている。

 

2 男女性別の違い

 

面接し、公務員についての評価を得た24名は、男性19名女性5名で、男性に著しく偏っている。これは、面接地が東海岸で、ほとんどがニューヨークとワシントンDCという地理的条件と、職業上連邦公務員に接触があるという条件から由来するものである。しかし、男女差は、全体としては、それほど大きくないものの、個別の項目ではかなりの違いがはっきりと現れた。

総合評価では、いずれも3ポイント台で、それほど高くも低くも評価していないが、やや女性が男性よりも、評価値は高かった。しかし、女性の評価は、倫理について男性よりはるかに高く、その他の評価項目ではいずれも男性のほうが高かった。人事行政システムに関して男性はもっとも高く評価したが、共通している要素は、OPMのパフォーマンスの肯定的評価と、各機関への採用等の権限委譲であった。一方、女性でもっとも低かったのは、将来への期待と要望であり、それは倫理に対する女性の評価が際立って高いことと関連している。

 

 

 

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