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東京がベースで、マリオン少年は本郷で育ち、小中高と日本の学校に通学した。グアム大学に入学して文化人類学を専攻。法政大と、ニューメキシコ大を卒業した。南カリフォルニア大学大学院で太平洋開発Pacific Developmentを学んだが、学位は取得しなかった。その後、京都大で法律を研修した。自分で石油会社を経営した後、20年間、アジア地域でインターナショナルな不動産開発に従事した。その会社が、現在の会社に吸収されたとき、役員に就任、専務に昇任した。近く東京に新会社を設立の予定である。

社会的には、ニューヨーク市のさまざまな活動で顧問などを務めている。東京の公立小学校に通学しただけに、日本語は上手である。

自分の子供は公務員にしたくない、とまずいう。出来が悪ければ仕方がないが、公務員になるのはいい職業だとは思わない。一般のキャリアで公務員になるのは、何があるだろうか。優秀なのがいるのか。公僕Public Servantの感覚がある。しかし一般には、公僕というと議員のイメージがつよい。

ただ、行政をうんと大雑把にいえば、一般の事業になりえない部分を受け継ぐのが公務員であって、アメリカの公務員という職業は、In Between Occupation(隙間産業)である。だから、国民は公務員を励まそうとしない。人々は公務員をばかにしている。上場している会社は公共的な存在であるから、公務員だけが公共性を担っているわけではない。しかも公務員は仕事が遅い。決していい評価ではない。質はよくない。もっとも隙間でしかないのだから、それでもいいようなものだが、しかし公務員という職業をやる人がいなければそれも困る。

その処遇からいえば、アメリカの公務員はよくやっているともいえる。ただし小さな権力を作りたがる性癖がある。それが隙間の権力だ。ただ、だれもがそこを通らなければならないから、そのような権力が肥大しないようコントロールする必要がある。

ただし、アメリカの公務員制度には、自浄効果がある。仕事のできが悪ければ、追い出される。公務員を辞める人がいるのは新陳代謝になる。辞めるのはレベルが高い人たちではない。

連邦レベルとローカルレベルの公務員の違いについても、考えなくてはいけない。連邦公務員は、コアの機能が統括機能に近い。基本的には指示機能Order Takerである。ローカル公務員は受令機能Order Receiverだ。たとえば、ニューヨーク市NYCでは、NYCパートナーシップ(日本でいえば経済同友会のような組織で、NYCに本杜がある企業で200―300人が参加して、ロビーイングなどをしている)という組織がある。参加者が知恵を出し合い、ネットワークを作っている。商工会議所からは外れているが、力のある委員会だ。たとえば、ホテル税を安くした。減税効果で宿泊料が安くなれば、観光客をひきつけることができる。具体的なデータはニューヨーク市が出す。また、警察官を街頭につねに出して、街の中を夜でも安心して歩けるようにすれば、観光客が増え、金を落とす機会も多くなる。

 

 

 

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