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しかし、ダウンサイジングの結果、いろいろな問題が起きている。民間部門の効率性は、資金を投資するところから出てくるが、公務にはそれがないからだ。もちろんどの組織にも怠惰な人間はいるが、行政組織では、そのような人間を解雇できずに、雇用し続けているシステムに問題がある。

最大の問題は公務員へのアクセスである。いったん公務組織に接触すれば、いい人間、能力のある人間がいることが分かるが、民間組織から言えば、公務員とのコミュニケーションそのものがネックになる。2、3日も電話を待たされることもある。

アメリカ人には、伝統的に大きな政府に対する反感がある。政府が国民を、行政の顧客と見るかどうかは、その仕事の価値にかかっている。ところが、民間では、顧客に接することにその価値がかかっている。つまり、民間はそれによって具体的な価値(収入等)を得るが、公務では、その価値は観念的なものであり、この点が問題である。

公務員の労働条件はいいが、倫理には疑問がある。第一に利益の衝突の回避が確立していない。公務に関連して、個人の利益と公共の利益を分けることが難しい。伝統的にははっきりしていたが、いまは状況が変わってしまった。政治任命とからんで、いわゆる回転ドア人事が問題になる。チェイニー(共和党副大統領候補、国防長官のあと石油会社の役員として多額の報酬を得たうえで、今回の候補になった)がいい例だ。民間での関係が公務と結びついてくる。

技術革新との関係では、行政組織は、新しいテクノロジーにマッチしていない。アメリカの行政システムが、基本的に時代遅れなのである。

<面接結果>

 

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26 マリオン・I・ロバートソン氏

 

(インシグニアESG専務)

全日空アメリカ支社の紹介で、8月15日、ニューヨークの本社で面談した。インシグニア社は、アメリカ最大の総合不動産会社で、約25万件の物件を管理している。同氏の叔父、アジア地域担当の国務省次官補からフィリピン大使、上院議員を務めた外交官で、日本では日米安保の具体的な枠組みを築いた池田・ロバートソン会談の一方の当事者として知られている。父も、日本占領時代はGHQの技術系外交官で、占領終了後もアジア大洋州地域でコンサルタントとして活動した。

 

 

 

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