しかし、ダウンサイジングの結果、いろいろな問題が起きている。民間部門の効率性は、資金を投資するところから出てくるが、公務にはそれがないからだ。もちろんどの組織にも怠惰な人間はいるが、行政組織では、そのような人間を解雇できずに、雇用し続けているシステムに問題がある。
最大の問題は公務員へのアクセスである。いったん公務組織に接触すれば、いい人間、能力のある人間がいることが分かるが、民間組織から言えば、公務員とのコミュニケーションそのものがネックになる。2、3日も電話を待たされることもある。
アメリカ人には、伝統的に大きな政府に対する反感がある。政府が国民を、行政の顧客と見るかどうかは、その仕事の価値にかかっている。ところが、民間では、顧客に接することにその価値がかかっている。つまり、民間はそれによって具体的な価値(収入等)を得るが、公務では、その価値は観念的なものであり、この点が問題である。
公務員の労働条件はいいが、倫理には疑問がある。第一に利益の衝突の回避が確立していない。公務に関連して、個人の利益と公共の利益を分けることが難しい。伝統的にははっきりしていたが、いまは状況が変わってしまった。政治任命とからんで、いわゆる回転ドア人事が問題になる。チェイニー(共和党副大統領候補、国防長官のあと石油会社の役員として多額の報酬を得たうえで、今回の候補になった)がいい例だ。民間での関係が公務と結びついてくる。
技術革新との関係では、行政組織は、新しいテクノロジーにマッチしていない。アメリカの行政システムが、基本的に時代遅れなのである。
<面接結果>