日本財団 図書館


政府倫理法も有効かもしれないが、倫理を法の言葉で語るところに問題がある。たとえば、CIAなどは、政府倫理法を完全に遵守することは、ある意味ではむずかしい。ある場合には規則を守らないことが必要になるからだ。しかし私の知っているかぎり、連邦公務員制度の将来には楽観している。公務員はその待遇のいかんにかかわらず、高いモラール(士気)を持っており、未来に対して高い使命感を持っている。

<面接結果>

 

024-1.gif

 

11 フランク・J・シマ氏

 

(ジョンズ・ホプキンス大学SAISライシャワーセンター事務局次長)

シマ氏は、セイヤー教授の助手で、ライシャワーセンターの事務を預かっている。8月10日にセイヤー氏との面談に先立って、ワシントンのSAISで面談した。

同氏は、シアトル出身の日系3世である。日本とかかわりの深い多様な経歴を持っている。ワシントン州のウェスタン・ワシントン大学で行政論を専攻した。1984年に卒業後、東京に行き、89年まで5年間の滞日生活を経験した。87年に早稲田大学政経大学院地方行政専攻に入学、89年に修士号を取得した。その後、三菱商事に入社、90年までアラスカやブルネイでLNG関係の業務を行った。91年から安田火災に移り、92年まで同社の米国現地法人、World Access Incでカストマー・サービスを担当した。92年から97年までこんどはアメリカのBaker & Mackenzie法律事務所に在籍し、98年4月に現職に就いた。

そのような経歴も影響しているのかもしれないが、他の面接者と異なった視点で連邦公務員を評価した。それは、連邦公務員には差別意識があるということである。同氏は、黒人の友達と育ったから少数民族に共通した意識を持っているという。たとえば麻薬使用にしても、コカイン常用者の大半は白人、クラックは黒人。それでクラック使用のほうが重罰になるというのである。同氏の意見では、麻薬もマリワナのように、非犯罪化することが必要だ。そうすれば、このような差別の実質化を解消することができるというわけである。

また同氏にはNASA(航空宇宙局)に友人がいるので、公務員の現場の状況を聞いているが、問題が多いという。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION