それなのに議会ではたたかれる。もっとも、麻薬取締りなどの部門には腐敗があるはずだし、調達部門も問題だと思う。ただ、日本のゼネコンのような大企業はアメリカにはないから、組織ぐるみの癒着という問題はほとんど考えられない。
政府倫理法の効果は認めるが、公務員にとって問題点は多い。現職公務員はあまり言わないが、たとえば倫理法の資産報告などは、申告の作業に2日がかりである。利益の衝突など問題となることがわかっていれば、申告しない人間もいるのではないか。また保有している株などの銘柄をチェックされるが、わずか1万ドル程度の株のために、その会社にとって有利なことをする価値が公務員にあるのだろうか。資産報告が義務付けられるようなポストに就任するときは、通常は株ではなく、国債なりブラインド・トラストに換えるものだ。
そうはいうものの、連邦公務員の幹部を目指す若者は、少なくとも修士号、多くは博士号のある人間で、その半分は女性だ。全米の大学から政府に貢献したい、この国をよくしたいと思う気持ちの人間が、毎年何万人もワシントンにやって来る。まさに彼ら/彼女らはベスト・アンド・ブライテストである。連邦公務員や議会スタッフの職を得て、2、3年から4、5年務めて経験を積むうち、ラッキーな者は早く出世する。能力を持っているものはいっぱいいる。その中で競争が行われ、さらに優秀な者が幹部になる。身分保障に安住する者は、それなりの仕事を評価されることになる。このようなシステムが機能しているところに、アメリカの公務員制度の活力源があると思う。
大統領任命や政治任命でないと、どの政府機関もトップレベルの職に就けないことが批判されているが、このような政治任命(ポリティカル・アポインティー)も少なくともその半分以上は適材適所だと思う。もともと優秀な人間のプールが大きいのだ。しかし、その一方で想像力やニュー・アイデアを持っている人があまりいないという欠点もある。
<面接結果>