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〈面接結果〉

 

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9 ウィリアム・T・ブレアー氏

 

(戦略国際研究所CSIS日本担当研究主任Japan Chair)

全日空法務部のワシントン駐在員である渋谷昌男氏は、通算10年近い勤務で、ワシントンの著名人に知己が多い。ブレアー氏もその一人で、渋谷氏の案内で8月10日、ホワイトハウスからそれほど離れていない戦略国際研究所にブレアー氏を訪問した。

戦略国際問題研究所CSISは、1962年創立のシンクタンクで、国防問題をはじめアメリカ政府の政策に大きな影響を与えてきた。現在はサム・ナンSam Nunn氏が理事長で、正規のスタッフ90名を擁している。寄付講座が7つあり、ブレアー氏はそのうちの日本講座の主任である。

同氏は、アメリカ有数の日本通として知られ、日本の政治家やジャーナリストにも知人が多い。ロサンゼルス出身で、ダートマス大学を卒業後、スタンフォード大ロースクールで学び、61年に国務省に入省した。在外勤務の途中、コロンビア大学東アジア研究所などでも研究し、87年に国務省日本部長に就任、89年駐日次席公使、93年からの政策企画局スタッフを最後に、96年に退職した。その後CSISに迎えられたというのが、同氏の略歴である。

民間人になってから短いとはいえ、日本事情にも明るいという点から、同氏を調査対象者に加えた。キャリア・サービスの経験とあわせて、公務員をどのように評価しているかに関心があった。

同氏によると、連邦公務員は国民から尊敬されていないという。公務員自身も、それに値する社会的威信を自覚しているとはいえない。国務省のトップ外交官といえども、その勤務はキャリア(専門職としての経歴)と感じない。修士号や博士号を持って入省しても、定年までのキャリア・パスを明確に意識しているわけではないし、文字通り、使用人という意識である。だから、一般に日本に比べると連邦公務員だからといっては威張っていない。公務員の非効率性やいわゆるレッドテープについては、それはどの国、どの組織にもあるものだ。

議会もまた、キャリア・サービスの公務員を尊敬しない。たとえば内国歳入庁IRSの仕事は第一級だと思うし、その職員の意欲と効率は高い。

 

 

 

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