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第一は、連邦公務員についてある程度の予備知識と接触体験を有することである。その中には、80年代のレーガン政権に始まり、90年代のクリントン政権で大きく進んだ公務員制度の改革についての知識が含まれる。

第二は、評価対象としての公務員を、連邦公務員に限定せず、公務員として共通するイメージを抽出できる範囲で、州レベルあるいはローカルレベルでの接触体験も含めることにした。これによって、抽象的な評価ではなく、経験的具象的な評価を得ることができたわけである。

このような前提から、調査対象者を次のような分野から選ぶことにした。第一は、ロビイスト、研究者、弁護士など、職業上、連邦公務員との接触が多い民間人である。第二はジャーナリスト。第三は、純粋の民間人とはいえないかもしれないが、退職公務員で、現在は公職と無関係の民間人。第四は、いわゆる「普通の人々」で、企業の被用者あるいは小企業の経営者で、仕事上、ある程度は連邦公務員との接触体験を有する人たちである。

調査者の日程上、調査期間を8月前半に設定せざるを得なかった。この期間は、4年ごとの大統領選挙で共和党大会の終了と、民主党大会の開催との中間期であった。そのため、大半のジャーナリスト(新聞・テレビの記者、コラムニスト)は、両大会をカバーするか、その間の短い休暇に入っているかで、インタビューが不可能な対象が多かった。調査内容が、アメリカ合衆国では関心の高い領域ではないため、面接時に調査意図について詳細な説明を行うことが必要であるため、事後にインターネットなどを通じてインタビューを設定することは、効果的でなく、前述の条件でできるだけ必要な調査対象者に面接を行うほかないと判断した。

調査日程は2000年8月5日から17日で、この間に合計26人にインタビューした。そのうちの一人は人事管理庁(Office of Personnel Management、OPM)の幹部であり、調査対象者ではない。また他の一人は、公務員とメディアを通じた市民イメージについての研究者であるが、用意した5段階評価については、数的評価は不可能として拒否した。したがって、形式的にも調査が完全に行われたのは24人である。

これらのアメリカ合衆国市民に紹介の労をとっていただいたのは、人事院管理局国際課の遠山義和・上席国際専門官(調査時点)、(社)経済団体連合会国際経済本部の斎藤仁・北米グループ長、日本労働組合総連合会の渡辺ひな子・国際局次長、フォーリンプレスセンターの細野忠治・前専務理事、日本貨物航空の功刀義雄・ニューヨーク支店長、全日空法務部の渋谷昌男・ワシントン駐在部長、日教組の福岡憲夫・国際部長などの皆さんであった。短期間にこれだけ多くの面接が可能となったのは、紹介者の方々のおかげ以外の何ものでもない。あらためてお礼を申し上げる。

 

 

 

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