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では退職一時金と退職年金のいずれを変更したのかを複数回答でみると「退職一時金」が19.4%、「退職年金」が15.2%と、「退職一時金」を変更した企業の割合が若干勝っていた状況である。

今後の方向については、「わからない」と回答した企業の割合が42.4%と最も高く、「変更しない」と回答した企業の割合は15.2%に過ぎない。退職金制度を今後どのようにしていくのかという問題について検討はされているものの、その解決の糸口はなかなか見出せないといったことであろうか。変更する方向にある企業について、退職一時金、退職年金のいずれを変更する方向なのかをみると、「退職一時金」が35.4%、「退職年金」が16.0%と、退職一時金を変更する方向の企業の割合が相当高いものとなっている。

ア. 企業規模別

これを企業規模別にみると、過去3年間に退職金制度を「変更しなかった」と回答した企業4割合は、「5千人以上」が63.6%と最も少なく、次いで「3・4千人台」が64.1%となっており、団塊の世代の従業員を多く抱え、今後退職者が増えるであろう大企業にとっては、退職金制度の変更はより差し迫った問題として意識されるものといえよう。また、逆に「千人未満」では過去3年間に退職金制度を「変更しなかった」と回答した企業の割合が78.9%であり、今後の方向についても、「変更しない」と回答した企業の割合が21.9%あるなど、この規模の企業では大きな制度の変革は難しいということであろうか。

 

第65表 退職金の過去3年間の変更の有無及び今後の見込み

1] 企業規模別

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(注) 上段は過去3年間の状況を、下段は今後の増減方向を示す。

 

イ. 産業別

次に産業別にみると、過去3年間に退職金制度を「変更しなかった」と回答した企業の割合は、「金融・保険業、不動産業」で60.0%と低く、「金融・保険業、不動産業」では退職金制度の変更について敏感に対応しているように見受けられる。また、「電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業」では80.0%と高い一方、今後の方向をみると「変更しない」と回答した企業はなく、退職金制度について何らかの取組みが必要との認識はあるものの、他社の対応等を様子見といったところであろうか。

 

 

 

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