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また、これを産業別でみると、各年齢とも中位の属する金額階層に大きな差異はみられないが、「金融・保険業、不動産業」では「50歳」で年収格差が「400万円以上」と回答した企業が5割を超える割合となっているなど、「金融・保険業、不動産業」における賃金格差の幅は大きなものであることが推測される。

 

V 退職金制度

わが国においては、従業員の退職に際し、一時金あるいは年金といった形の退職金(退職給付)制度を多くの企業で導入していることは議論を待たないところであるが、バブル崩壊後の超低金利を背景とした年金基金資産の含み損など、企業の負担する年金コストが高まり、将来の企業経営への影響も懸念されているところである。また、このような諸事情を背景に、本年3月期から「退職給付に係る新会計基準」が実施されるなど、退職金制度を取り巻く環境は変わりつつあり、日本型の雇用慣行ともいうべき終身雇用から流動化する労働市場へと姿を変えつつある雇用体系に呼応するように、各企業においては退職金の性格論をも含めた検討が進んでいるものと考えられる。そこで、各企業における退職金制度についてその有無、今後の動向等を調査した。

 

1. 退職金制度の有無〔第63・64表参照〕

退職金制度は多くの企業で導入していることは明らかであるが、確認の意味も込め、改めて退職金制度の導入状況を調査したところ、回答企業の99.7%で退職金制度が導入されており、「退職金制度がない」とする企業は1社(「1・2千人台」規模、「製造業」)に過ぎなかった。

 

第63表 退職金制度の有無

1] 企業規模別

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第64表 退職金制度の有無

2] 産業別

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2. 退職金制度の変更

(1) 過去3年間の動向及び今後の方向〔第65・66表参照

賃金体系が年功制から能力・実績に応じた賃金へと変革が進められていく中で、退職時の賃金等を算定の基礎とするなど年功的な要素の強い退職金制度はどのような変革が求められ、また、進められているのか。各企業における退職金制度の検討状況を探るために、過去3年間で退職金制度の変更の有無を尋ねたところ、「変更しなかった」と回答した企業の割合は71.7%であり、変更をした企業の割合は3割弱と賃金制度の変革の進み具合と比較すると、やや足取りは重いようである。

 

 

 

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