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(3) 「課長級」では、全体で「いない」が60.3%(88社)と「課長級」が出ていない企業が6割を超えてきて、「10%未満」が38.4%(56社)と「いない」が逆転してくる。課長級への登用はこれからの課題と言える。

なお、僅か2社に過ぎないが「10%以上25%未満」もある。

ア. これを企業規模別にみると、「5千人以上」では「いない」が33.3%(7社)と比較的少ないのに対し、「10%未満」が66.7%(14社)となっており、なお「10%未満」が「いない」を上回っているが、それ以下の規模では、「いない」が「10%未満」を上回っている。

「千人未満」では、「いない」が80%(28社)と最も高くなっている。

イ. これを産業別にみると、いずれの産業においても「いない」が最も高い比率を示し、とりわけ「運輸・通信業」では83.3%、「農林漁業、鉱業、建設業」では71.4%などと高くなっている。

「課長級」で「10%以上25%未満」があるのは、「製造業」と「金融・保険業・不動産業」だけである。

(4) 「部次長級」では、「いない」が全体では91.2%と9割を超えてきており、女性総合職を「部次長級」に登用している企業は10%に満たない。

「部次長級」が出ている企業を産業別にみると、「製造業」、「卸売・小売業、飲食店」、「金融・保険業、不動産業」だけである。

(5) 「部長級」では、「いない」の比率がさらに高くなり、全体で95.8%となっている。

「部長級」が出ているのは、「5千人以上」規模の企業が殆んどで、産業別では、「製造業」5社と「卸売・小売業、飲食店」の1社のみである。

以上を総合すると、各企業ごとに総合職・一般職制を導入した時期、実際に女性総合職を採用し始めた時期、あるいは総合職・一般職制導入前からの在職者に対する制度導入時における身分の切替措置の内容など様々な事情が内在するものと認められ、一概にはいえないが、女性総合職の登用は、比較的大きな規模の企業ではその登用が進み、企業規模が小さくなるに従って遅れているように見受けられる。また、産業別にみると、「製造業」や「金融・保険業、不動産業」で比較的登用が進み、「農林漁業、鉱業、建設業」や「運輸・通信業」ではそれが遅れている傾向がみられる。

男子中心社会の長い歴史の中で、女性総合職(必ずしも総合職に限るわけではないが)の管理職への登用については、男女雇用機会均等法を引くまでもなく大きな課題であると考えられる。それぞれの企業では、多くの課題を抱えながらもそれなりの努力をしているところと考えられるが、それにしても男女雇用機会均等法施行以来15年を迎える今日、その歴史の浅さに大きな要因があるにしても、「未だ道遠し」といった感を拭い切れない。

 

5. 女性総合職採用の効果〔第25・26表参照

女性総合職を採用している企業について、女性総合職を採用したことによる社内における変化の状況について、該当事項を例示して複数回答で調査した。

 

 

 

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